駅伝

「日本の駅伝ってマジつまんないな。」

「急にどうしました?」

「あんなの見て、なにがおもしろいんだか。」

「やけに挑戦的だですね。じゃ、どこの国の駅伝が面白いの?」

「オレの育った国の駅伝だよ。」

「どこの?」

「千葉。」

「日本じゃん!!」

「いや、でも千葉の駅伝はおもしろいのよ。」

「どんなの?」

「駅伝ってさ、みんなタスキかけて走るでしょ?」

「だなぁ。」

「そこにオリジナリティーがないんだよ。」

「千葉は違うの?」

「千葉の駅伝は何かけて走ってもいいの。」

「なんでもいいの?」

「うん。」

「例えば?」

「レイとか。」

「レイってハワイの首からかける花飾り?」

「そうそう。」

「なんか派手すぎねぇ?」

「こういうのは目立ったほうがいいんだって。」

「そうなのか?」

「あとはね、タスキはタスキなんだけど、タスキに『今日の主役』とか書いてあるの。」

「ハンズとかで売ってる奴かよ!てか、そんなふざけた奴は『今日の主役』には絶対になれないよな。」

「あと、裸で走ってる奴もいたな。」

「あれ?そいつは何もかけてないの?」

「いや、かけてるよ。」

「何を?」

「親友セルヌンティウスの命。」

「メロス!」

「こいつは必死だったね。」

「そいつ絶対駅伝関係ないよな?」

「あとね、ずっと掛け算の九九をいってるやつとか。」

「そのカケルね。」

「まぁ、いろんなものをかけて走るわけよ。」

「なんか随分『かける』の意味合いが違うきがするけどな…。」

「そこがオリジナリティーなのよ。」

「そうなのか?で、レースはどんな感じだったの?」

「まぁ一番最初に飛び出したのは馬だったんだけど。」

「馬!?」

「そうサラブレット。」

ずるくね!?で、そいつは何をかけてたの?」

「かけてたというか、かかってた。」

「かかってた?」

「んとね、『かかる』って言うのは、競馬用語でスタートしてゆっくり行こうとする騎手に対して、馬の行きたい気持ちが先行して速く走ってしまう状態。まぁ、スタミナを消耗するから、あとで失速しちゃうことが多いんだけどね。

「うわぁ〜、なんかマニアック〜。」

「で案の定、馬は失速したね。」

「で、その次はだれが出てきたの?」

「掛け算のやつ。」

「そいつ速いの?」

「うん。元オリンピック選手だったから。」

「もうそいつ優勝じゃん。」

「ううん。途中でリタイアしちゃったの。」

「なんで?」

「七の段が言えなかった。」

「バカじゃん!!」

「で、次にメロスが出てきたんだけど、ゴールじゃなくてお城を目指して違う方向に言っちゃったの。」

「まぁ、物語の都合上な。」

「で、結局『今日の主役』が一番にゴールしたんだけどね。」

「ホントに主役になっちゃったわけだ。」

「まさに神がかってたね。」

「あ、そんなものまでかけてたんだ。」

「ちなみにビリは呪がかかってたやつ。」

「それは遅そうだな。」

「のろくなる呪。」

「うん。微妙にくだらないこと言いそうになってるから気を付けて。」

「で、優勝は『今日の主役』が1着になるにかけていた、大木勇さん。」

「誰だよそれ!てか、競馬じゃないんだから。」

「ほら、サラブレットも出てたし。」

「関係ねぇよ!ルールとか無視だし。駅伝って言うか『かける』ことの方がメインになってない?」

「いや、駅伝は『かける』のがメインだろ?」

「いや、走るのがメインだろ?」

「いや、同じだよ。走る競争の事こうも言うだろ?」

「ん?」

「『かけっこ』って。」

「お、うまいね。」

 

この漫才は「笑いの風」さんの自作漫才「駅伝」をMCがアレンジしたものです。

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